ミモザの日 それから修二会の夕べ(1)
さて、皆さん。
アメリカの芸能界・スポーツ界で活躍してきたこんな有名人、著名人たち。
レディー・ガガ、マドンナ、シンディ・ローパー、ジョン・ボン・ジョビィ、アリアナ・グランデ、フランク・シナトラ、アル・パチーノ、レオナルド・ディカプリオ、ジョン・トラボルタ、シルヴェスター・スタローン、
MLBの名選手ならばヨギ・ベラ、ジョー・ディマジオ。
彼らに共通する、揺るがしようのない出自とは一体何でありましょうか?
それはですね。
今ここに挙げた有名人、著名人の皆様方のルーツをたどりますと、イタリアからの移民の血筋を引く人たちということなのです。
かつてイタリアは、第二次世界大戦後~1950年代あたりまで米国に移民を送った国だったのですね。
「この騒々しいイタ公め!」
と忌み嫌われた揺籃の時もあったけれど、1990年代に入ってからイタリアは専ら不法難民を受け入れる国としての役割を演じるようになるのです。
アフリカ諸国からゴムボートみたいなのにモーターエンジンをくっつけた、そんなお粗末なもので地中海を横断しようと、生死をかけてイタリアを目指した人がたくさんいたのですね。
辛うじて命からがら南イタリアのランペドゥーザ島あたりに漂着できたとしても、不法な滞在だからありつける職も限られています。
信号待ちの車両の窓ふきや、にわかに雨が降って来た時の傘売り、テッシュ売り、あるいは路傍で絵画の複製画の販売。
これらは皆、違法だからいつどこから取り締まりの警察官が目を光らせているかも知れません。
毎日ビクビクですね。
難民たちのルーツは主にアフリカ諸国で、ギニアやブルキナ・ファソなどサハラ砂漠より南のサブサハラ地域から来た人が大半を占め、そのほとんどが北アフリカのチュニジアを経由して来たと見られています。
そんなアフリカ諸国からの難民に加えて、昨今はウクライナから戦禍で故郷を追われた人たちも押し寄せ混乱を極めかねません。
フランスはそんな難民の受け入れの呼びかけに対してはっきりと拒否の姿勢を示しており、メディア紙上随分と議論が熱いです。
さて、一雨ごとに土中の小さな命の息吹が感じられるようになるならば、それが二十四節気でいう啓蟄(けいちつ)の頃でしょうか。
イタリアの朝夕はまだまだ風は冷たくもあるけれど、生花店にはミモザの黄色いぼんぼりが揺れるのですよ。
毎年3月8日はイタリアではfesta della donna(フェスタ・デラ・ドンナ:女性の日)といって、普段お世話になっている女性に感謝の気持ちを込めて、ご家庭で職場で学校でミモザの黄色い花を送るのです。
そのときには、普段は車の窓ふきや傘売りなどで生計を立てているアフリカ諸国からやってきた難民たちも「花売り」に大変身!
イタリアの長靴の形をした半島は、ミモザの黄色い花で溢れかえります。
でも季節のものだからこの時ばかりはミモザも高値がついて、値札を見て思わず買うのをためらうこともあります。
本来なら野や山で普通に咲いている花なのに・・・。
別に買わなくてもいいのだけど、旬のものだし・・・仕方ないか・・・って買っちゃいます。
それで自宅のテーブルの上に飾って、
「花粉飛ぶやろなぁ」
断続的なくしゃみに襲われながら
「やっぱり。あなたのせいか・・・」
《つづく》