たびさきの マイフェバリット(2)
最近では日本のカフェでも普及した感がありますが、エスプレッソマシンで“エスプレッソコーヒーを抽出する”時のあの「シューッ」って音。
ついでに湯気が漂うあの情景が目に浮かぶでしょ。
思い起こすのは勿論、イタリアの町。
町歩きやお買い物、美術館巡り。
ちょっと歩き疲れたなぁってなりますと日本と同じように「ちょっとお茶とケーキでも・・ジェラートの方がいい?はたまた暑いからキリっと冷えたスパークリング・ワインでもいく?」ってなりますよね。
日本と同じようにイタリアにもカフェは至るところにあります。
でもイタリアではカフェと言わずバル(Bar)っていいます。
このバルがお茶も甘いお菓子もジェラートもキリっと冷えた白ワインも全部かなえてくれるのです。
店内に入ると椅子テーブル席もあるのだけど、カフェを頂く時は地元の人たちはカウンターで立ち飲みです。
特に朝の出勤の時間帯などは、皆忙しいからカウンターでコーヒーをキュイって飲んでます。
イタリアのコーヒーは日本みたく熱々のコーヒーをフーフーしていただくものではありません。
少しぬるめに感じるかも知れません。
だから二くち、三くちでチャチャッて飲んで、お代金置いて「グラッツェ(有り難う)」って仕事場へ向かいます。
私たちの国ならばどちらかといえば大手で店舗展開するカフェなどの方が主流でしょ。
でもイタリアはじめ欧州の町では近所の商店街の入り口にあるような「おばちゃんが経営している喫茶店」的なお店のほうがまだまだお客さんたちも足を運ぶんですよ。
それは何故でしょう?
おそらくきっと馴染みのお店へいけばお知り合いに会えるのではないですか?
そこでお知り合いやお店の人とくっちゃべるのですよ。
相手のお話なんかあまり聞いてないかも知れないですよ。
とにかくマシンガンのように「昨日のサッカーの試合」から「今度孫が入学した学校の担任の先生の評判」から色々くっちゃべるのですよ。
お話が逸れてしまいました。
あのバルに入ってカフェを待っている時、一人だったなら所在なさげに、でも耳はあのコーヒーマシンの“エスプレッソコーヒーを抽出する音”をイタリアの生活のリズムに欠かせない音なんだと耳が記憶しているのですよ。
エスプレッソマシンのあの抽出音は、日本からの距離おおよそ9800Kmを容易く超えて、「君知るや南の国」あの喧噪に連れ出してくれるのですよ。
《たびさきの マイフェバリット 完》